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第8回 UV印刷と環境問題

昨今の地球温暖化問題に象徴されるように、環境問題について再考しようという気運が高まりつつあるのを実感しています。今回はUV印刷の環境上のメリットについて、その詳細を考えてみます。

VOC問題

WHO(世界保健機構)の定義によると、VOCとは沸点が50℃〜260℃の揮発性有機化合物(有機化合物とは大気中で気体状となる炭素を基本骨格にもつ化学物質)のことです。これに該当する石油系溶剤である軽油が、一般に使われる油性インキには約30%位含有されていることが問題視されています。 このVOCの引き起こす問題としては、室内における人体への影響があり、頭痛・めまい・中核神経や腎臓及び肝臓への機能障害などが取り上げられています。印刷室内の環境を考えますと、仕事の種類によっては埃を極端に嫌う為に密閉度の高い室内で生産を余儀なくされる場合があり、難分解性であるVOCが印刷室内の人体に影響を及ぼすことになるのです。VOCを滞留させないように十分な換気が必要になるわけですが、そのまま大気中に放出すると、次に室外における問題を引き起こすことになります。これが大気汚染の問題で、VOCはその二大原因物質である浮遊粒子状物質と光化学オキシダントの生成への関与が指摘されています。 UVインキでは、軽油を含有しませんので原材料としてはVOCゼロですが、厳密に調査すると極々微量にVOCリストにある物質が検出される場合があります。これはUVインキをインキメーカーで製造する際に、その工程内で使用される洗浄剤にVOCが含まれているために、その極々微量がインキ中に残存する場合があるということのようです。 このような洗浄剤は一般的に有機溶剤で、印刷後にインキを洗い落とす用途に必ず使用されます。UVインキ用の洗浄剤は油性インキに使用されるものよりも強いので、UVインキ成分中にはVOCは含有されていませんが、UVインキ印刷という生産全体を考えた場合にはVOCを含有する洗浄剤を使用していることは事実です。日本水なし協会様のご協力を得て、印刷中と印刷終了後の洗浄中のVOC計測を実施しましたので、ご参考にして頂ければと思います。
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LCA(ライフサイクルアセスメント)評価

UVインキと油性インキ、それぞれを使用した印刷をLCA評価した場合に、どちらが本当に環境に優しいと言えるのでしょうか?印刷会社という立場から、調達・生産・廃棄(リサイクル)という3つのフェーズ毎にその環境負荷を考えてみます。 まず調達フェーズですが、UVインキは左記にあるようにVOCに該当する軽油成分はゼロで、油性インキには相当量が含有されていることは大きな違いです。さらに、油性インキでは環境ホルモンの嫌疑のかけられているロジン変性フェノールが主な樹脂として使われていることも見逃せない大きな相違です。UVインキを構成する樹脂であるアクリレート樹脂にこのような問題はありません。 生産フェーズでは、UVランプの点灯では電気を余計に使用することになり、油性インキの方が電気使用量は少なくてすむと考えられます。しかしながら、生産時間全体を考えますと、両面印刷などの場合には油性インキが乾燥を半日以上待って翌日に印刷を行うことが一般的ですので、工場の稼働時間が約2倍になると試算できます。生産を1日の稼動で終わらせるか否かは、工場全体を稼動させるエネルギー消費量に大きく影響を及ぼすと考えられます。 廃棄(リサイクル)フェーズでは、油性インキは空気に触れると乾燥してしまうことから、容易にインキ表面に硬い膜が張って廃棄する量が多くなります。一方で、UVインキは紫外線に照射されませんと硬化しませんので、最後まできれいに使い切ることができるのです。脱墨(リサイクル)の問題では、UVインキは強固に硬化することが弱点となってリサイクルが難しいと言われ続けてきましたが、弊社で使用しているインキはこの脱墨性において油性インキとは大差ないというエコマーク取得付きのUVインキへの全面切り替えを実施済みです。 LCA評価を本格的にする場合、どこにウエイトを置くかによって、又どの視点から環境問題を睨むかによって、その評価は分かれますが、我々はどこからどう見てもUV印刷に軍配が上がると見ています。